この章が一番面白い。物語で言うと「ヤマ」にあたるのが、第三章だろう。章のタイトルを見て、1986年に発表されたシンディ・ローパーの2枚目のアルバムのタイトル曲をすぐに思い出せる方はどれぐらいいるだろう。シンディ・ローパーの曲の中でTrue Colors の意味するのは個人の本質というような意味だが、“Strike a Pose” の第三章では色彩の冒険を厭わない大胆な色使いを意味している。単純過ぎる命名にも思えるが、よく考えてみると実は意味深長なタイトルなのではないだろうか。

ファッションデザインは、いつの時代も様々な色に溢れた世界であるが、建築デザインにおいてはデザイン言語としての色というものにまだまだ表現力の乏しさと拙さを感じる。冒険心や探究心というものが人間の根源的な部分に関わっているのであれば、建築表現もフォルムだけではなく、今後は色においてももっと変化していくのだろう。

色使いの好みは、国や民族によって大きく異なってくるのは当然であり、建築やインテリアのカラースキームの善し悪しは簡単に語れるようなものではないが、日本の現代建築は白を軸にした無彩色表現に偏っている印象を受けがちだ。この本の他の章では数多くの日本の建築事務所が登場しているのに対し、第三章にほとんど日本の事務所がデザインした建築が出て来ないのもこのような理由からなのであろう。

デビュー当時は、超極彩色だったシンディ・ローパーも、20年以上が経ちすっかり渋くなってしまったが、True Colors は健在だ。

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第二章 アブストラクト・プレイン:STRIKE A POSE(4)
第一章 トランプ:STRIKE A POSE(3)
はい、ポーズ!:STRIKE A POSE(2)
お薦めの一冊:STRIKE A POSE(1)
ゲシュタルテン(出版元)