これからの調香師はトイレタリーが重要な分野になってくるだろう。ファインフレグランスの調香師の需要はこの2年間下り坂だが、ビュティーケアとトイレタリーは調香師が少々不足しているという話を聞く。調香師なら今後は、ファインフレグランスだけでなくトイレタリーもどんどん手掛けるようになって欲しいし、オールマイティーな調香師が一流だという時代が来るというふうに感じている。

世界的に知られているダウニーの柔軟剤の中でも、長年ベストセラーを誇るエイプリルフレッシュの香りをつくった調香師が、かのソフィア・グロスマンだということはほとんど知られていない。ソフィア・グロスマンにとりダウニーはランコムのトレゾアと同様に誇りに思っている仕事だということを聞いたことがある。ソフィア・グロスマンと話をしていると、フレイバーとトイレタリーに関連する様々なアイデアの話題になることが多い。ファインフレグランスの調香師がもっと目を向けていかなくてはならない分野とのこと、まさに同感だ。

ソフィア・グロスマンが、”He is a good kid…” と評しているゲランの調香師ティエリー・ワッサーは、トイレタリーの調香師についてこう語ったことがある。「ファインフレグランスの調香師はファッションの世界と関わりがあるおかげで注目を受けるが、実のところ香りを操る腕前においては、優れたポーカープレヤーのようなことをしているトイレタリーの調香師にはかなわないよ。」ティエリー・ワッサーによればファインフレグランスというのは、何もない白いキャンバスに蝶よ花よという世界を描ければよいが、トイレタリーの調香師はアンモニアのようにひどい匂いがする様々な化学品の上に綺麗な世界を作り上げなくてはならないので、ファインフレグランスの調香師よりも遥かにテクニシャンなのだそうだ。