このところブログの更新を怠っている。久しぶりに本業(?)の香水企画に本腰で取り組んでいるからだ。新作ということでは6年振りになるのではないだろうか。今回は商品名を付けずに発表するが、『ラノニム(匿名)・ウ・OP-1475-A』という長たらしい呼び方で紹介されることになるだろう。後ろの部分のアルファベットと数字は膨大な数ある未発表の香水それぞれに付けられる登録照会番号のひとつだと思ってもらえば良い。この香りの調香師はオリヴィエ・ポルジュ。彼が得意とする洗練されて高級感に溢れる香りでありながら、非常にコンテンポラリーな点に惹かれて今回の新製品の発表に踏み切きることにした。このところ欧米は、ニッチフレグランスのルネッサンス。一年ほど前のインタヴューにおいて、「ニッチフレグランスは、映画に喩えるならB級映画」とやってしまい、他のニッチブランドから痛烈な非難を浴びたことがある。ニッチフレグランスは、香りの出来がB級のものがほとんどであるという意味で言ったのだが、お値段の方は超特級のものが多い。100ミリリットル以下の量で、日本円にして2万、3万というものがたくさんある。教養の無い成金が幅を利かすアメリカでは、値段が高ければ特別なものだろうということで、香りの完成度の低いことがオリジナリティだという錯覚に陥ってしまっているニッチファンが多いことに辟易している。今回の新作は、このような現状に一石を投じたいという気持ちもあるのだ。オリヴィエ・ポルジュと云えば現在最も才能のある若手調香師であり、次期シャネル専属調香師の可能性が囁かれている。そんな素晴らしい調香師の出色の逸品を、ニッチフレグランスだけでなく香水そのものの概念を覆すような価格に設定することに興奮している。陳腐な言い方かもしれないが、もっと多くの人に、いつまでも好かれるような素晴らしい香りを、誰もが躊躇せずに買えるような値段で提供するのが今回の目標だ。