WWDIS Blog - Page 85

Ambroxan と Ambrox

(前回の続きは、次回にさせて頂きます。)

現在花王株式会社が買収した化学会社が製造をしているAmbroxanという、非常に高価ながら人気の高い合成香料と、フィルメニッヒ/Firmenichの製造するAmbrox (Ambrox DL)という、名前だけでなく香りもAmbroxanと非常に似た香料があります。素人の鼻には多分このふたつの香料の区別はつかないでしょうが、幾人かのパフューマー(調香師)に意見を聞いてみたところ、皆口を揃えてAmbroxanの方が遥かに優れているという答えが返ってきました。しかしながら、Ambroxがあのジャック キャバリエ/Jacques Cavallierの大のお気に入りの香料であり、彼の作品に頻繁に使われるという事を聞いているものですから、Ambroxanの方が優れているのだという他のパフューマー(調香師)達の意見を鵜呑みにしてしまう前に、一度自分の鼻で比較してみることにしました。

比べた結果、ふたつは非常に似た香りなのですが、全く逆の印象を受けるというのが私の感想です。Ambroxanというのは、非常にパワフルでクリーンな香りなのですが、どこか品に欠けてチープな感じが残るのが気になって仕方がありません。それに対しAmbroxは、他のフィルメニッヒ製の香料にしばしば見られる、エレガントで格調の高い印象がどこからとなく漂います。普段は難しい化学の話には一切興味が無いのですが、こうなってくるとはっきりとした違いを知らずにはおられませんので、パフューマー(調香師)達の中でも特に化学に強いクリストフ ロダミエル/Christophe Laudamielに説明をしてもらうことにしました。

続く。。。

ラボラトリー モニーク レミー/Laboratoire Monique Rémy

いまどき南フランスのグラースが、世界の香水製造の中心地だと信じている人はいないと思います。事実というのは、実際は何のロマンも感じられない場合が多いのでしょうが、今日世界の香水業界の中心となっているのは米国のニュージャージー州なのです。マンハッタンの川向こうであるニュージャージーがどのような場所か御存知の方ならば、この事実が合成香料の需要の大きさを物語っている事をお分かりになるでしょう。

それでは、グラースは昔程重要な場所ではないのでしょうか? とんでもない! グラースから供給される天然香料が、今日ほど良質で純度の高かった時代は今までありませんでした。これには勿論技術の進歩ということもありますが、それ以上に「品質改善」という事に使命を抱いたモニーク・レミー/Monique Rémy という一人の女性の功績によるところが大きいのです。80年代のはじめにシャネルのケミストであったモニーク・レミーは、毎日のように手にするグラースからの「純天然」であるはずの天然香料に合成香料が混入されている事実に疑問を持った為、偽りのない品質の香料を自分で開発する決意を持ちました。彼女は、1984年にラボラトリー モニーク レミー/Laboratoire Monique Rémy(通称 L.M.R. )という香料会社をグラースに設立することにより腐敗したグラースの香料業界に一石を投じ、僅か10数年の間に世界最高の天然香料の供給元としての地位を築いただけではなく、グラースの香料業界全体の倫理意識の改善に成功したのです。

2000年に引退をするにあたり、モニーク レミーは自分の設立した会社の将来を慎重に考えた結果、当時世界最大の香料企業であったInternational Flavors & Fragrances Inc.(通称 IFF)に会社を売却しました。現在ラボラトリー モニーク レミーは、重要なクライアントのひとつであるシャネル/Chanelの為に特別品種のバラを栽培し、そのバラから採取される香料をシャネルにのみ供給していると言えば、シャネルの香水がどれだけ特別なものなのかお分かりいただけるでしょう。ジャン クロード エレナ/Jean Claude Ellena もエルメス/Hermèsの専属調香師に就任して以来、ラボラトリー モニーク レミーに頻繁に足を運んでいるようですから、エルメスだけの為に製造している天然香料があるものと思われます。高級ブランドにとり、ラボラトリー モニーク レミーのエクスクルーシブな原材料を使っているかどうかという事は、ブランドの格付けにも関わってくることなのです。エクスクルーシブな天然香料ではありませんが、天才ソフィア グロスマン/Sophia Grojsmanが創った一番新しいバージョンの(現在販売されているもの)100% LOVE®も、ラボラトリー モニーク レミーからの非常に高価な天然香料をふんだんに使っております。少し、自慢をしてしまいました…(笑笑)

続く。。。

天然と合成

『合成香料は骨で、天然香料は身(肉)である』という事を言ったパフューマー(調香師)がいます。これは、ある意味で的を得た表現だと言えるでしょう。『100%ナチュラル』、つまり天然香料だけを使ったものが最高などということは、少なくとも香水ではあり得ない事です。まともなパフューマー(調香師)なら、天然香料の魅力は合成香料が合わさり、初めて最高の魅力を輝き放つことを充分に理解しています。また、合成香料によって初め生まれたノートというものも数限りなくあります。つまり調香の可能性と技術というものは、合成香料の登場により格段に進歩したわけです。

この数年で欧米の香水市場にもナチュラル志向の波が多少押し寄せてきています。注意してみると、「天然」という言葉を声高らかに唱っているは、アマチュアの香水作りか小さい香水メーカーの場合がほとんどのようです。ナチュラル志向を一概に批判するつもりはありませんが、「合成香料は天然香料に劣る」というような、そもそも比較しても意味のない事をヒステリックに喚き、天然信奉を押し広めることに躍起になる輩が増えてきているのは閉口します。

こういうことをアジっているのは、自称パフューマー(調香師)の場合が多く、半ば被害妄想のようなトーンで合成香料を諸悪の根源と決めつけているのを見ると気の毒な感じにすらなります。彼等を弁護するつもりは全くありませんが、被害者のような気分にならざるを得ない状況が存在している事は確かです。一流の香料企業に所属していないパフューマー(調香師)にとっては、手に入れられる香水の原材料、つまりフレグランス(香料)の種類が非常に限られている上、比較的入手の容易な天然の原材料の場合は、それが表向き純天然だと言われていても、実は合成香料や他の不純物が混ぜられている場合が多いのです。その反対に魅力のある合成香料とか、特殊なアクセントをつけるのに不可欠な合成香料というものは、往々にして入手が不可能だったり、入手ができたとしてもそれが新鮮なもの(合成にも鮮度というものがあります)なのかどうかがわからない場合がほとんどです。

南フランスのグラース(Grasse)というのは、優れた香水の原材料のメッカのように思われていますが、少し以前までは、ほとんどのグラースの香料会社が純天然と偽り合成香料を混ぜていいたという事をどれだけの人が知っているのでしょう… 私がニューヨークで時々世話になるユダヤ人の歯科医は、治療だけでなく日本語も上手なのですが、治療費があまりに高いので、ある時南フランスを旅行する際に現地で治療をしてもらうことを考えた事がありました。その歯科医に、レントゲン写真をフランスに持っていきたいという事を伝えたところ、「いいですよぉ。でも、南フランスは嘘つきばかりだから、気をつけないとボラれるちゃうよ。」と流暢な日本語で言っていた事を思い出します(笑)。

続く。。。

subtle and clever

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who: Saatchi and Saatchi New York
what: Procter & Gamble Head and Shoulders ad

Eugenio Recuenco: Making of Nina Ricci

美大の彫刻科と工芸科専攻の学生なら一度は経験したものに、撮影用の大道具・小道具の制作というアルバイトがありました。雑誌広告やテレビコマーシャルの華やかなイメージからはなかなか想像のつき難い、臭く、埃っぽく、様々の汚れのこびり付いた作業場で、搬入日の朝を迎えるというのが普通でした。撮影終了後、軽トラに粗大ゴミとなってしまった「作品」を積み込み処分するという最後の任務を待ちつつ、スタジオの隅で目を擦りながら、ぼぉっとした頭でこういう撮影現場を眺めたのを懐かしく思います。

The final cut

Yurakucho

70年代の後半から80年代の前半の学生時代に、通り道だったという便利さから、よく芸大の仲間達と有楽町で飯を喰ったり、飲みに行ったりしたものです。当時の六本木とは違った、どこかリラックスした雰囲気が好きでした。さぁ、今夜はナンパしまくるぞぉ、という意気込みではなく、一日の疲れを癒すような気分で立ち寄るのに都合の良い場所だったのでしょう。

最後に有楽町の駅を使ったのはどのぐらい前だったかはもう覚えていませんが、多分20年近く前のことでしょう。この写真には、私が見たことのない新幹線のような電車が走っていますが、その流線形とガード下の焼き鳥屋が立ち並ぶ風景が美しいものに見えてなりません。列車の車輪と線路の擦れる金属臭/焼き鳥/煙草の匂い達が織りなすハーモニーというのが懐かしくなります。

作家のChandler Burr/チャンドラー・バールが、「通りに漂よってくるうどんの香りが、たまらなく懐かしい」というメールを送ってきた事を思い出しまが(彼は日本に住んでいた事があるそうです)、日本でしか経験のできない香り/匂いというものを、調香師だけではなく香水業界のもっと多くの人々に知ってもらいたいと常々思っています。

Where Passion Comes First

A wind tunnel by Renzo Piano, assembly lines by Jean Nouvel, and a restaurant by MDN (Marco Visconti & Partners) – Ferrari has invested more than €200,000,000 since 1997 for the renovation of their facilities in Maranello, Italy.

In the early ’80s, I took a job at Nissan’s assembly line for the export model of Nissan Z-car in Hiratsuka, Japan. Day and night shifts alternated each week. My job was to grind off hundreds of rough edges created by spot welding on the body of Nissan 280ZX, wearing a protective full suit connected to an air hose. I had approximately 150 seconds to run around the body of a car, which was moving towards the next section of the line, removing all the rough edges using a relatively big air grinder and having two air hoses around myself, one attached to the hood covering my entire head and the other connected to the grinder. I would get yelled at by a supervisor once in a while for making a small scratch on the unpainted hood. If I had a day without making a scratch on any of the 170 car bodies that went through the line, the day was glorious. I’m sure things at Japanese car manufacturers have become safer and nicer since then.

I remember that my coworkers on the same assembly line were talking about retirement often. Everybody was trying to find a way to get out of there as early as possible since stamina and speed were the first things you needed to end each day safely. The chatting took place during the 10-minute break or lunch break, in a small booth next to the line or at a huge cafeteria without sufficient light. Everyday when I walked through the enormous dark facilities to get to my assembly line, I wondered how a company like Nissan, which was exporting nice cars to the United Arab Emirates and North America, could let their workers be in an overly depressing environment.

Looking at these images of the new facilities of Ferrari makes me want to work in their assembly line again. It’s utterly glorious.

» Image gallery and article @ Car Body Design