ティエリー ワッサー / Thierry Wasser

調香師 ブルーノ・ジョヴァノヴィック

今日は、パリからニューヨークに舞い戻って来た調香師ブルーノ・ジョヴァノヴィックが、ボーイフレンドを連れて遊びに来た。ブルーノ・ジョヴァノヴィックは、七月生まれの蟹座でアセンダントが獅子座という点がゲランの調香師ティエリー・ワッサーと同じ。会社の為だけではなく調香師としてのキャリアの上でも非常に重要なプロジェクトであったとしても、クライアントのアイデアや姿勢に興味が持てないとあっさりとそれを無視する点がフィルメニッヒ在籍当時のワッサーに似ている。ちょっと怠け者に思えてしまうぐらいに、のんびりとしたマイペースな点もワッサーにそっくり。以前にこのブログでも大いに自慢をさせてもらったが、香水業界でティエリー・ワッサーがゲランの調香師になる可能性を、その実現の何年も前から語っていたのは私だけだった。現在の香水業界で若い調香師の才能を見抜く実力においてうちの連れ合いの右に出るものはいないようだが、ティエリー・ワッサーが将来ゲランを仕切る可能性については私と意見が合わなかったのを覚えている。そんなことから、ワッサーがゲランの調香師に決定する半年前に連れ合いが、「あなたの予言していた事、本当になりそうよ!」と興奮して知らせてきた時には、どうだ、参ったか!という嬉しい気分を味わった。その連れ合いに、「もしゲランやエルメスのようなフレグランスハウスを持たされた場合に、世界中のどの調香師でも専属調香師として迎えられるとしたら誰を選ぶ?」という質問をすれば、躊躇無く『ブルーノ・ジョヴァノヴィック』という答えが返ってくるだろう。いつの日か彼が、ジャンパトゥかエルメスを背負ったとしても少しも不思議はないかもしれない、と、私も思う。長身だがどことなく東洋的な容貌のジョヴァノヴィックは、昔から日本に強く興味を持っていて、とても日本に行くことを楽しみにしているそうだ。そんなジョヴァノヴィックの、もの静かだが、強く人を引きつける魅力が伝わってくるポートレートがあるので御覧あれ。この写真は、旧くからの友人である渡邉肇氏が撮影したことも付け加えておこう。

日本人は臭い

先月の旅行中に立ち寄ることができなかった為に、未練がましくマルセイユの話題を繰り返すが、たまたま時期を同じくして南仏を旅行していたエックスワイフから、マルセイユの魚売りのオバちゃんの写真が送られてきた。臭ってきそうな写真だが、この魚がブイヤベースになるのかと思うと涎が出てきそうだ。ジャック・キャバリエがこれを見たらきっと卒倒することだろう。大分前の事になるが、ジャック・キャバリエがニューヨークに来た折に、三宅一生氏がニューヨークに行くと必ず寄るという日本料理屋に行ってみたいということから、ティエリー・ワッサー他数名も誘いその店で夕食を共にした。その時にジャックから聞いたのは、一生氏に招かれて日本に滞在するのは大好きだが、新しい香水を日本人の肌でテストしなくてはならないのが辛いということだった。日本人の肌は魚の匂いがしてかなわないらしい。そういえば、日本に住んだ経験のあるクリストフ・ロダミエルも似たようなことを言っていた。クリストフによると日本の地下鉄は生臭い匂いがして、ニューヨークの地下鉄よりもタチが悪いというのだ。我々は外国人の体臭が強いと思いがちであるが、我々自身の体臭には意外と鈍感なのかもしれない。まっ、そうは言っても、人の体臭が漂う国において香水文化が育つことを思うと、「日本人は臭い」という外国人からの意見が増えてくることによって、日本の香水市場ももっと活溌になってくることを期待したい。

(注:90年代の寵児ジャック・キャバリエは、世界屈指の調香師。出世作であるロードイッセイの世界的に根強い人気により、イッセイミヤケというブランド名が不動のものになった云われる。ティエリー・ワッサーは、世界的名門メゾンであるゲランの5代目調香師。ゲラン一族以外からの初めての調香師ということで大きな期待が寄せられている。前出の二人と比べ一回り若いクリストフ・ロダミエルは、今までの調香師のイメージには当てはめることのできない異才。日本では紹介されなかったが、ティエリーミュグレー社の援助を受けて映画「パフューム -ある人殺しの物語-」の為に、限定販売の非常に高価なコフレを創ったことでも知られる。)

ソフィア・グロスマンとティエリー・ワッサーによれば…

これからの調香師はトイレタリーが重要な分野になってくるだろう。ファインフレグランスの調香師の需要はこの2年間下り坂だが、ビュティーケアとトイレタリーは調香師が少々不足しているという話を聞く。調香師なら今後は、ファインフレグランスだけでなくトイレタリーもどんどん手掛けるようになって欲しいし、オールマイティーな調香師が一流だという時代が来るというふうに感じている。

世界的に知られているダウニーの柔軟剤の中でも、長年ベストセラーを誇るエイプリルフレッシュの香りをつくった調香師が、かのソフィア・グロスマンだということはほとんど知られていない。ソフィア・グロスマンにとりダウニーはランコムのトレゾアと同様に誇りに思っている仕事だということを聞いたことがある。ソフィア・グロスマンと話をしていると、フレイバーとトイレタリーに関連する様々なアイデアの話題になることが多い。ファインフレグランスの調香師がもっと目を向けていかなくてはならない分野とのこと、まさに同感だ。

ソフィア・グロスマンが、”He is a good kid…” と評しているゲランの調香師ティエリー・ワッサーは、トイレタリーの調香師についてこう語ったことがある。「ファインフレグランスの調香師はファッションの世界と関わりがあるおかげで注目を受けるが、実のところ香りを操る腕前においては、優れたポーカープレヤーのようなことをしているトイレタリーの調香師にはかなわないよ。」ティエリー・ワッサーによればファインフレグランスというのは、何もない白いキャンバスに蝶よ花よという世界を描ければよいが、トイレタリーの調香師はアンモニアのようにひどい匂いがする様々な化学品の上に綺麗な世界を作り上げなくてはならないので、ファインフレグランスの調香師よりも遥かにテクニシャンなのだそうだ。

GUERLAIN HOMME

What the fxxx is wrong with Guerlain to use such a pathetic PR photo of Thierry Wasser. Stiff and boring, just the opposite of how the man is. This is a bad sign…

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ゲラン専属調香師ティエリー ワッサー/Thierry Wasserのプレス用の写真が、あまりにひどいのでびっくり。縁起があまりよろしくありません。ゲラン移籍第一弾となる「オム」も大分妥協してしまったような出来だという話を聞きました。少し先行きが心配です。

調香師ティエリー・ワッサー香りのコフレ/Thierry Wasser’s coffret

調香師ティエリー・ワッサー(Thierry Wasser)のゲラン(Guerlain)専属調香師への就任が、予想以上に早く発表されました。楽しみです。これを記念し、今までにティエリー・ワッサーが、私のアートプロジェクトの為に手がけたいくつかの香りをセットにした、香水コフレでも作ろうかと考えています。佐賀町エキジビットスペースに於いて、ふんだんに散布したシュガーマウンテンはもちろんのこと、「恐怖の壁」という名前の香りやら、男前な彼の自画像として創らせた香りなど一風変わったものばかりですが、私が何故ティエリー・ワッサーの才能を確信したかということが充分に理解できるものばかりだと思います。御関心のある方は、japanあっとs-perfumeどっとこむまで、メールでお問い合わせください。

(ピンぼけしていますが、懐かしい写真です。5、6年前でしょうか… ティエリー・ワッサーが、まだニューヨークにいた頃のものです。)

Perfumers(調香師の仲間達)

私の様々なプロジェクトに参画してくれた香水調香師達(ファインフレグランス パフューマー)の中で、特にお気に入りの6人の調香師達それぞれについて、個人的な感想を求められたことがありました。今日ちょうど2年振りにその記事を目にしたので、改めて読み返してみたところ、割と的を射たことを言っているなと、ひとりで笑ってしまいました。英語ですが、辞書を使ったりオンラインの機械翻訳を使って読んでみてください。世界を舞台にして香水を作っていきたいという方。。。これからまだ暫くは、本場の香水業界の仕事に関わる為には、英語とフランス語が中心に物事が進んでいく環境に身を投じなければならない、という事は覚悟しておいた方が良いでしょう。

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Exactly two years ago, I was asked by someone to describe each perfumer I had worked with. Have my views changed in two years? Not really.

ソフィア・グロスマン/Sophia Grojsman – There are so many things that I want to say about her. The article on Sophia in the popular perfume blog Bois de Jasmin describes the perfumer very well. In short, Sophia is a very warm person, a dynamo, and an absolute genius!

アルベルト・モリヤス/Alberto Morillas – Had I only known his creations on the market, I wouldn’t have asked him to create scents for me. I was simply drawn into his personal creations and ideas that didn’t end up on the market. What makes him unique is having a very strong style of his own and being versatile at the same time. He is wild at heart, fun to be with, workerholic, and he really loves women. I think we have a perfect recipe to be a great perfumer here.

クリストフ・ロダミエル/Christophe Laudamiel – 4 years ago (so, it’s 6 years ago.), when I first heard about a young talented perfumer with “a red Mohican,” I knew he was meant for my projects. There is a charismatic woman like Sophia in the industry, but most others look too conservative and uptight. After all it’s a luxury business, and I want to see more colorful guys like Christophe in the industry. However, that’s not the most important thing about him. The most striking thing about Christophe is his extremely innovative ideas – he is a scientist and an artist at the same time.

アニック・メナルド/Annick Menardo – As Luca Turin believes, this is another genius. She is extremely intelligent, but a bit difficult. I am madly in love with her creations, especially the one that didn’t end up on the maket called “MADONNE.” I don’t understand why no one has taken it.

ティエリー・ワッサー/Thierry Wasser – An international man of mystery… a great guy with so much talent, but so elusive to the point it’s too difficult to describe him. He is handsome and stylish, but that has nothing to do with his talent. I worked with Thierry most frequently since he understood my ideas very quickly. He is a very artistic person himself in a way classical musicians are. His powerful perfumery balanced very well with the style of my art.

ロク・ドング/Loc Dong – Loc is another ‘different kind’ among the young perfumers today. He is ambitious [good], doesn’t think he is an artist [interesting], Asian [Yes!], and might be a genius [we'll see]. Loc still doesn’t have many solo creation under his belt, but his unique style is getting a lot of attention in the industry. I would say he will be the first Asian perfumer to be as prominent as Cavallier and Morillas in the future.

I was also asked to assign each perfumer a single perfume note that I felt best represented their personalities. I thought it was kind of a boring question and decided to give each perfumer a theme or a mission.

ソフィア・グロスマン/Sophia Grosjman: Essence of women, or Mother

アルベルト・モリヤス/Alberto Morillas: Scent for an elegant and wealthy European woman who spends time in New York City during the weekends

クリストフ・ロダミエル/Christophe Laudamiel: A Night at the Opera

アニック・メナルド/Annick Menardo: The Virgin

ティエリー・ワッサー/Thierry Wasser: He would be perfect to revamp a brand like Guerlain. (I first said this more than five years ago.)

ロク・ドング/Loc Dong: n/a (I didn’t assign him a theme since I was working on a project with him at that time.)

(By the way, LVMH/Guerlain will announce their new perfumer early next month.)

Correction and Addition

I am probably was wrong about the news on Takasago yesterday. It might be It’s Firmenich. Many rumors are circulating in the secretive industry. It’s simply fun to speculate on the rumors. The Givaudan kingdom is in turmoil (this is almost certain), and what I’m hearing seems to be the beginning of a bigger story.

Firmenich may be the one laughing in the end, but many people there, including Jacques Cavallier and Annick Menardo, must have been in tears to see Thierry Wasser leave Firmenich earlier this week.

Thierry, Google your name. This is for you.



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高砂が新しい調香師を獲得したというのニュースは誤報でした。この数日間、主に世界のトップレベルの調香師達の間でいろいろな噂が飛び交っています。2006年の秋にクェスト社を買収し、世界最大の香料会社となったジボダンが、この先も何人かの調香師を失うことになる模様。すでにジボダンからフィルメニッヒに2人の調香師が移籍することになっているようですが、その他に数名の有名な調香師達の今後の動向についていろいろな噂が流れています。高砂がこの機に乗じて何かの動きを見せてくれると、今後の香水業界のビジネス展開が面白くなると思うのですが…

さて、先に述べたようにフィルメニッヒの調香師ティエリー ワッサー(Thierry Wasser)が、ゲラン(Guerlain)の調香師、つまりあのジャン ポール・ゲランの後任になるというニュースには驚かされました。ゲランが正式な発表をするまでにはまだ時間があるので、詳しい話はひかえておきますが、1年程前にLVMH社が(ゲランの親会社)がティエリーにアプローチしたという話を聞いていましたから、かなり慎重な話し合いが進められたものと思われます。ティエリーのパワフルで飛び切りイカした調香のスタイルを思うと、ゲランの今後が楽しみで仕方がありません。

Damn, I Was Right!

Yo, Thierry!

I knew it, I knew it, I knew it!!

Do you remember what I predicted 3 years ago?

… man, you’re the best.

A huge congratulations !!!

Nobi

(what a day…)

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3年程前にフィルメニッヒ(Firmenich)の調香師ティエリー ワッサー(Thierry Wasser)に「お前は、そのうちゲラン(Guerlain)の調香師になるよ。」と言って茶化したことがありました。いやぁ、本当のことになってしまいました。6月の初旬に正式に発表されるはずです。