Scent - Page 6

Kenzopower by Kenya Hara

Although most Japanese don’t care about fragrances, last end of July, there was an event to announce the launch of Kenzopower at the former Tomyoji Temple in my hometown Naka Ward, Yokohama. Kenya Hara, one of the most prominent creative minds (and my favorite packaging designer) in Japan, worked on the packaging of this new Kenzo fragrance. Continue Reading

Gap

日本の香水好きの間でもフレデリック マルという名前は知られていると思う。ニッチ香水の王様だ。アメリカではバーニーズ ニューヨークというデパートの独占ブランドであり、共同ブランドとしてフレデリック マル アウトレイジャスという香水が昨年発表され人気を集めている。

2005年に発表されたショーン ジョンのアンフォーギバブルは今年も相変わらず好調、来年発売のアイ アム キングにも大きい期待がかけられているはずだ。

ニッチとメジャーを並べてしまったが、この二つの香水には共通することが一つある。どちらの香水もIFFが香りを作り上げ、そのオイルの供給元となっていることだ。因みにアウトレイジャスは、我が敬愛するソフィア グロスマンの作である。そして、ショーン ジョンの新作アイ アム キングは、再びIFFが香りを作ることになった。

昨年フレデリック マルがアウトレイジャスのために支払ったオイル代は二千ドルにもならなかったと記憶している。その後IFFの方に追加注文が入ったという話を聞かないので、まだアウトレイジャスの在庫は足りているのだろう。これはIFFにとっては、経理などの手間だけが掛かり全く商売にはならない注文である。フレデリック マルがディオールの創始者セルジュ・エフトレール・イシュの孫だということでもなければ、大手の香料会社がニッチブランドにオイルを供給することはほとんどあり得ない。

一方のショーン ジョン(エスティー ローダー)は、アンフォーギバブルのために毎年二百万ドル相当の量のオイルをIFFから購入しているようだ。IFFはショーン ジョンの新作アイ アム キングのオイル売り上げとして年間三百万ドル以上を見込んでいるということも聞いている。アンフォーギバブルの売り上げが、あのバーニーズ ニューヨークとフレデリック マルのコラボレーションであるアウトレイジャスの千倍以上だと思うと(非常に大雑把な計算だが…)、ニッチなどやっている事に意味があるのだろうかという気持ちになってくる。

しかしながらアンフォーギバブルが大口な注文だとしても、IFFのような大所帯で且つ世界的な企業にとり、年間二百万ドルで出来る事と言えば数名の調香師の年間の給料を払うことぐらいだ。何千人もいる従業員を喰わせていくことを考えるとちっぽけな売り上げである。ビジネスというのは大変ものだ。

Lancome ‘Catastrophique’ & Calvin Klein ‘Recession’

投稿タイトルは単なる戯言です。天災と不況のニュースばかりで、香水業界ももろにそのあおりを受けて崩壊していくのはないか… なんて思う今日この頃。

こんな時に元気の出る香りがあるのだろうかなどと思いいろいろな瓶を引っ張りだしてきたら、あるはあるはざっと見回しただけでも5、600本ありそうだ。貸し倉庫とスタジオに保管してあるのはこの数倍はあるはずだ。

保管してある香水の中には市販されているものなどひとつもなく、全て著名な調香師達によるオリジナルな香りばかりなのだが、20本ぐらい試したら嫌になってしまった。香水の匂いが嫌になった時にいつもする事というのは、「スーパーGalaxolide」の瓶を開けてじっくりとその香りを嗅ぐこと。やはり自分には、これが一番効くのだ。元気も出てきた。

香水戦線異常なし

このブログを読んでくださっている方に対して失礼なことかもしれませんが、敢えて申し上げてしまいます。ブログの有り難い点というのは、更新をする時間の無い時には放ったらかしにしておけることだと思います。このいつ更新するかわからないブログを開始して以来、目標も計画性も全く無いまま2年以上の月日が経過したということに驚くと同時に、当初はブログを使って香水を創るプロジェクトだったはずのものが、気が付いてみたら趣旨のないものに変貌し、使われる言語まで変わってしまったといういい加減さには我ながら呆れるばかりです。不思議に思うことと言えば、ここでの日本語の使用頻度が増す一方で、最近は東欧圏のファッション/ビューティー雑誌からの問い合わせが増えてきていることです。調香師/パフューマーに関する記事の為の取材がほとんどであることから、アメリカとは異なり一般消費者の香水に対する関心の次元が大分違うことが容易に想像できます。今後特に注目をしていきたい地域でしょう。

このところ香水関連のことに目が向いていなかった為、現在業界で何が起きているのかも知りませんが、暫く私のところには何も面白いニュースは届いてきておりません。(調香師の誰それが薬物乱用の為に何処そこから解雇になったとか、ロシア系の美貌の若手調香師に企業スパイの嫌疑がかけられたといったゴシップは闇から闇へと葬り去られるものなので、ここでも取り上げることは避けています。)最近唯一耳にしたことと言えば、アメリカの失業率が5年ぶりに6%を超えるというニュースが取り沙汰される中、さる超大手香料会社が10%の人員を削減するらしいということぐらいです。解雇と同時にやってくるのが雇用、人員削減の際も穴埋めの必要は出てくるのでしょう。

A stripped-down beauty

When I was a kid in Japan, I didn’t know Ted Turner was a businessman. I thought his job was to helm racing yachts. Courageous was my favorite yacht – it had the most beautiful form among all the different kinds of racing crafts. I thought, and still think, the most compelling stripped-down aesthetic exists in yacht racing.

I hardly wear a fragrance at all but enjoy smelling fragrance raw materials. Lately I have been intrigued by a musk molecule that is a little different from other musks. I started to wear it at 0.8% concentration level this summer. It smells like wind over the deck of a carbon/Kevlar® racer and whispers in my ear, “This beauty is light and fast, dangerous and fun!”

*****

私がまだ十代の頃に、世界的なヨットレーサーとして活躍していたCNNの創始者テッド ターナーのことやら、最近執心の新種のムスクに感じること。

パフューマー(調香師)になりたい 3

最近はこのブログの読者の中にも、これから大学や専門学校に進もうという若い方がいらっしゃるようなので、今回はパフューマー(調香師)になるのにはどのような進路があるかを考えてみましょう。

先ずこのリンク( http://www.airspencer.com/essay.html )を御覧ください。で述べられている「化学系か薬学系の大学を卒業していること」というのは正攻法です。日本の企業に入社を希望する場合は、特に強くお勧めします。語学に自信があり資金も何とかなるという場合は、で述べられているイジプカ/ISIPCA (Institut Supérieur International du Parfum, de la Cosmétique et de l’Aromatique Alimentaire) に入学するのが最良の方法でしょう。最近はイジプカの入学競争率が高いようですが、世界を舞台に活躍したいという場合の手堅い進路であることを考えると当然の事でしょう。

ひとつ知っておいて頂きたいのは、仮にイジプカを卒業できても、ジボダン/Givaudan、フィルメニッヒ/Firmenich、IFF/International Flavors and Fragrancesに最初からパフューマー(調香師)として入社できる事はまずあり得ないという点です。これらトップの香料会社で調香師として働く為には、更に香料会社専属のパフューマリースクール(フィルメニッヒは学校を持たないので、ベテランの調香師について研修という形になる)に於いて、更に1年から2年の勉強を続けなくては使いものになりません。更に厳しい点は、これらの香料会社に入る場合、いわゆる求人広告などから採用されるケースがほとんどない為、ネットワーキングと情報収集に長けている事が重要になってきます。

ジボダン、フィルメニッヒ、IFFのパフューマー(調香師)になるという事は、調香の世界のトッププレーヤーになる事に他なりません。野球で言えば大リーグの選手になるようなものなのです。頑張ってみてください。

Ambroxan と Ambrox その2

先週、AmbroxanとAmbroxについて話しましたが、その二つの香料の違いについて、パフューマー(調香師)クリストフ ロダミエル/Christophe Laudamielが説明してくれた内容をまとめてみましょう。

ここに、C16H28Oという同じ分子式を持ちながら、構造が異なる二つの分子があるとします。ひとつをDと呼び、残りの一方をLと呼ぶことにしましょう。DとLはともに香料分子であり、似たような匂いを持っているものと思われます(筆者は、Dの匂いを単独で嗅いだことがなく、クリストフはその点について触れませんでした)。クリストフ ロダミエルだけでなく、おそらく多くのパフューマー(調香師)は、Lの方が香料分子としての優れていると言うことでしょう。更に付け加えると、C16H28Oという分子式を持った異性体/isomer(分子式は同一だが構造が異なる分子、またはそのような分子からなる化合物を異性体)は他にもいくつかありますが(筆者がググッてみたところ17個出てきました)、香料として重要なのはこのDとLのようです。

すでに想像が付いた方もいらっしゃるかと思いますが、つまりこのDとLの違いが、AmbroxanとAmbroxの違いに関係してくるわけです。Ambroxanはその99%がLという分子で出来上がっているのに対し、Ambroxはその25%づつをDとLで分け合い、残りの50%は他の異性体/isomerで占められているそうです。先週も述べましたが、AmbroxanとAmbroxは非常に似通った香りを持ち、多分普通の人には区別がつかないのではないかと思われますが、正直なところその内容の違いには驚かされました。私が、DとLが似たような匂いを持っているのだろうと推測したのも、このようなことからです。

Ambroxanのストレートで強烈な印象というのは、その純度の高さから来るのだと思います。個人的には、Ambroxのどことなく「曇ったような」曖昧な部分がむしろ好きなのだという事をクリストフ ロダミエルに言ったところ、”make sense(それだったら、納得できる)”という答えが返ってきました。ジャック キャバリエ/Jacques Cavallierも同じような理由からAmbroxの方を好んでいるのではないでしょうか。

*補足*
AmbroxanとAmbroxの他に、Cetaloxというフィルメニッヒ/Firmenichの香料があるので触れておきましょう。クリストフ ロダミエルが以下のような二種類のCetaloxを教えてくれました。
Cetalox:およそ96%がDとLで占められている香料化合物。
L-Cetalox:99%がLの高純度の香料。Ambroxanと全く同じもののようですが、使われているL分子の製造法が違います。Cetaloxに使われているL分子は最初から最後まで完全に人工のプロセスで製造されているのに対し、Ambroxanで使われているL分子は、植物から抽出された香料を使って製造されるそうです。クリストフ ロダミエルによるとAmbroxanとL-Cetaloxが多少違う香りがするのは、残りの1%不純な部分の違いだそうですが、これは我々の鼻にはとても感じ取れるようなものではないのでしょう。

AMBROX (a registered trademark of Firmenich in International Class 3, 1979)
AMBROXAN (a registered trademark of Kao Corporation in International Class 1, 2007 – abandoned by by Henkel in 1984)
CETALOX (a registered trademark of Firmenich in International Class 1 and 3, separate filing in 1994 and 2006)

Anaïs Anaïs by Cacharel と Z11

Z11:エクスクルーシブな合成香料 その2(謎めいてエクスクルーシブなタイプ)
車の名前のようですが、Z11とはある香料分子に付けられた名前です。最近まではフィルメニッヒ/Firmenichのパフューマー(調香師)以外は、誰もZ11そのものだけの匂いを嗅いだことがなかったと言われています。特許期限が切れてから少なくとも10年は経つと思われるので、現在は他でも同じ分子構造の香料を作っている可能性はありますが…

ドライなウッディノートを持つZ11が、初めてそれとわかるような使い方をされた香水と言えば、1978年に発表されたキャシャレル アナイス アナイス/Cacharel Anaïs Anaïsでしょう。この香水が大ヒットをした後、フィルメニッヒに於いて他の香水の中にもZ11が使用されるケースが急激に増加したことは言うまでもありません。Z11は長年フィルメニッヒの「切り札」として、フィルメニッヒ専属の調香師だけが使うことのできた香料なのです。特許がまだ有効だった期間は、多分その呼び名すら知られていなかったのでしょう。

こういう原材料は『きゃぷてぃぶ』と呼ばれ、例えばジボダン/Givaudanものなら、ジボダンの調香師しかその匂いを知りません。そうは言っても、他の企業がジボダンの手掛けた香水をGC(ガスクロマトグラフ)にかければ、見たことのない分子があるようだという事には気が付きますので、例えば、「ジボダンはどうやら新種のムスクを持っているらしい」というような噂が、ジボダン以外の香料会社の調香師達の間に広まるわけです。(都合上この段落中カタカナであるべき部分が平仮名になっております。)

見えないものだけに、なおさら謎めいていて、どうしても知りたいという気持ちをかき立てられませんか?



“share the secret…”

Calone®

Calone®:エクスクルーシブな合成香料 その1(それほどエクスクルーシブでないタイプ)
前回は、ラボラトリー モニーク レミー/laboratoire monique rémyのエクスクルーシブな天然香料について少し触れましたが、エクスクルーシブな合成香料についても触れてみたいと思います。先ずは、それほどエクスクルーシブではないのものなのですが、出所が限られている香料ということで紹介します。

マリンノートを持つ分子として知られ、L’eau d’Isseyや他のアクア系の香水に欠くことのできない合成香料にCalone®(カロン)があります。現在の登録商標所有企業はフィルメニッヒ/Firmenich。その前はダニスコ/Daniscoでしたが、昨年ダニスコの香料部門をフィルメニッヒが買い取った時点でCalone®の商標もフィルメニッヒの方へ移りました。

Caloneという名前をつけられることになった分子が、ファイザー/Pfizerで発見されたのは1966年のことです。実際にこの分子が日の目をみるまでには大分長い時間があったことは、アメリカでの登録商標の申請が1983年になって初めてされていることからも明らかでしょう。”First use Apr. 9, 1980″ となっていますので、研究室の隅で14年間埃でも被っていたのでしょうか。「匂いの帝王」の主人公としても知られている科学者ルカ トゥリン/Luca Turin氏による、Calone®の簡単な歴史に触れた非常に面白い記事があります。

随分昔に特許期限は切れてしまっているので、中国やインドなどでも同じ分子を製造しているのかもしれませんが、例えばジボダン/GivaudanやIFF (International Flavors and Fragrances)の調香師達は、Calone®としてフィルメニッヒから仕入れたものを使っています。やはり品質の問題があるからでしょうか。しかしながらジボダンやIFFにしてみれば、自社製のもので全てがまかなえれば願ってもないことです。それぞれの研究開発部門はCalone®よりも優れた香料分子の発見に努めていることは間違いないでしょう。

続く。。。

Ambroxan と Ambrox

(前回の続きは、次回にさせて頂きます。)

現在花王株式会社が買収した化学会社が製造をしているAmbroxanという、非常に高価ながら人気の高い合成香料と、フィルメニッヒ/Firmenichの製造するAmbrox (Ambrox DL)という、名前だけでなく香りもAmbroxanと非常に似た香料があります。素人の鼻には多分このふたつの香料の区別はつかないでしょうが、幾人かのパフューマー(調香師)に意見を聞いてみたところ、皆口を揃えてAmbroxanの方が遥かに優れているという答えが返ってきました。しかしながら、Ambroxがあのジャック キャバリエ/Jacques Cavallierの大のお気に入りの香料であり、彼の作品に頻繁に使われるという事を聞いているものですから、Ambroxanの方が優れているのだという他のパフューマー(調香師)達の意見を鵜呑みにしてしまう前に、一度自分の鼻で比較してみることにしました。

比べた結果、ふたつは非常に似た香りなのですが、全く逆の印象を受けるというのが私の感想です。Ambroxanというのは、非常にパワフルでクリーンな香りなのですが、どこか品に欠けてチープな感じが残るのが気になって仕方がありません。それに対しAmbroxは、他のフィルメニッヒ製の香料にしばしば見られる、エレガントで格調の高い印象がどこからとなく漂います。普段は難しい化学の話には一切興味が無いのですが、こうなってくるとはっきりとした違いを知らずにはおられませんので、パフューマー(調香師)達の中でも特に化学に強いクリストフ ロダミエル/Christophe Laudamielに説明をしてもらうことにしました。

続く。。。