先月の旅行中に立ち寄ることができなかった為に、未練がましくマルセイユの話題を繰り返すが、たまたま時期を同じくして南仏を旅行していたエックスワイフから、マルセイユの魚売りのオバちゃんの写真が送られてきた。臭ってきそうな写真だが、この魚がブイヤベースになるのかと思うと涎が出てきそうだ。ジャック・キャバリエがこれを見たらきっと卒倒することだろう。大分前の事になるが、ジャック・キャバリエがニューヨークに来た折に、三宅一生氏がニューヨークに行くと必ず寄るという日本料理屋に行ってみたいということから、ティエリー・ワッサー他数名も誘いその店で夕食を共にした。その時にジャックから聞いたのは、一生氏に招かれて日本に滞在するのは大好きだが、新しい香水を日本人の肌でテストしなくてはならないのが辛いということだった。日本人の肌は魚の匂いがしてかなわないらしい。そういえば、日本に住んだ経験のあるクリストフ・ロダミエルも似たようなことを言っていた。クリストフによると日本の地下鉄は生臭い匂いがして、ニューヨークの地下鉄よりもタチが悪いというのだ。我々は外国人の体臭が強いと思いがちであるが、我々自身の体臭には意外と鈍感なのかもしれない。まっ、そうは言っても、人の体臭が漂う国において香水文化が育つことを思うと、「日本人は臭い」という外国人からの意見が増えてくることによって、日本の香水市場ももっと活溌になってくることを期待したい。

(注:90年代の寵児ジャック・キャバリエは、世界屈指の調香師。出世作であるロードイッセイの世界的に根強い人気により、イッセイミヤケというブランド名が不動のものになった云われる。ティエリー・ワッサーは、世界的名門メゾンであるゲランの5代目調香師。ゲラン一族以外からの初めての調香師ということで大きな期待が寄せられている。前出の二人と比べ一回り若いクリストフ・ロダミエルは、今までの調香師のイメージには当てはめることのできない異才。日本では紹介されなかったが、ティエリーミュグレー社の援助を受けて映画「パフューム -ある人殺しの物語-」の為に、限定販売の非常に高価なコフレを創ったことでも知られる。)

Written by:

A sculptor living in New York

Leave a comment

Back to top